イチロー引退会見に見る挑戦と継続の重要性
イチローが引退する。深夜の記者会見だった。イチロー選手の言葉はいつまでも覚えておきたいと思うので以下文字に起こしました。会見の30分ほどまでです。
この遅い時間にお集まりいただいてありがとうございます
今日のゲームを最後に、日本で9年、アメリカで19年目にとちゅにゅうしたところだったんですけれども、
現役生活に終止符を打ち、引退することとなりました。
最後にこのユニフォームを着て
この日を迎えられたこと大変幸せに感じています
この28年を振り返るのは、あまりにも長い時間だったので、
ここでひとつひとつ振り返ることはむずかしいということもあって
ここではこれまで応援していただいた方々への感謝の思いそして
球団関係者、チームメイトに感謝を申し上げて
みなさまからの質問があれば、できる限りお答えしたいと考えています
◆テレ朝クサナギ
Q終止符を打つことを決めたタイミングと、その理由
Aキャンプ終盤、何日前とははっきり言えない
もともと日本で、東京ドームでプレーするところまでが契約上の予定であった
キャンプ終盤で結果が出せずそれを覆すことができなかったということ
Q思い残したことは
A今日のあの球場での出来事、あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずがありません
もちろん、もっとできたことはあると思いますけど
結果を残すために、自分なりに重ねたてきたこと
人よりも頑張ったということはとても言えないけれど、そんなことはまったくないですけれども
自分なりに頑張ってきたということははっきり言えるので、
これを重ねてきて、それを重ねることでしか、後悔を生まないということはできないのではないかと思う
◆TBS井上
Q子供たちに向けたメッセージを
Aシンプルだなぁ。メッセージかぁ。苦手なのだな、僕が。
野球だけじゃなくてもいいんですよね。自分が熱中できるもの、夢中になれるものが見つかれば、それに向かってエネルギーを注げる
それが見つかれば、自分の前に立ちふさがる壁に向かっていける、向かうことができる
そうじゃないと壁が出てきたときにあきらめてしまう
いろんなことにトライして、自分にむくか向かないというより、自分が好きなものを見つけてほしい
Q今思い返して一番印象に残るシーンは
A今日を除いてですよね
この後時間がたてば、今日が一番残ることは間違いない
いろいろな記録に立ち向かってきたんですけれども、そういうものは大したものではないというか、自分にとって、
それをめざしてやってきたが、いずれそれは、僕ら後輩が先輩たちの記録を抜いていくことをしなければいけないことだと思うけれども、
そのことにそれほど大きな意味はないというか
そんな風に、今日のことを経験すると、小さなものに思えてくる
わかりやすく10年連続200本とか、オールスターMVPとか小さなことにすぎないと思います
今日のこの舞台に立てたということは、去年の5月以降ゲームに出られなくなって、
そのあともチームと一緒に練習は続けてきたわけだが、
その練習がなければこの日にたてなかった
今まで残してきた記録はいずれ誰かが抜いていく
でも、あの日々はひょっとしたら誰にもできないのではないかと、ささやかな誇りを感じる
その日があったから今日この場所に立てた
どの記録よりも自分の中では、ほんの少しだけ誇りを持てたことかなと感じます
◆テレ東スミ
Q「ICHI」メーターで知られるエイミーさんが見守っていましたが、ファンの存在はイチロー選手にとってどういうことか
Aゲーム後にあんなことが起こるとは想像していなかった
19年目のシーズンをアメリカで迎えていたが、日本の方の熱量を普段じることは難しい
久しぶりに東京ドームに来て、試合自体は基本的には静かに進んでいくんですけれど、
なんとなく、印象として日本の方は表現するのが苦手と思っていましたが、
完全に覆りました
内側に持っている熱い思いが確実にそこにある
それを表現した時の迫力というのは、とてもこれまでに想像することはできなかった
これはもっとも特別な瞬間にはなるけれど
ある時までは自分のためにプレーすることがチームのためになるし、見てくれている人も喜んでくれるかなと思っていた
NYに行って後くらいからは、人に喜んでもらうことが一番の喜びに代わってきた
その点でファンの存在なくしては、自分のエネルギーは全く生まれないと言っていい
おかしなこと言ってます?僕w
◆サンスポ
Qイチロー選手が貫いたもの
A野球のことを愛したことだと思います
これは変わることがなかった
おかしなこと言ってます?大丈夫?
Qケングリフィーが「肩の力を抜いた時に楽しくなる」と言ってましたが
Aそれは全くないです
1軍に行ったり2軍に行ったりする野球は結構楽しかった
94年、3年目に仰木監督と出会って、レギュラーで初めて使っていただいて、
この年まででしたね、楽しかったのは
そのころから急に番付を上げられて、一気に、
それがしんどかった
力以上の評価をされるというのがとても苦しいですよね
そこからは純粋に楽しいっていうことはね、
達成感、満足感を得ることもたくさんありました
でも楽しいかといわれるとそれは違うんですよね
そういう時間を過ごしてきて、
将来また楽しい野球がやりたいなと
皮肉なもので、プロ野球選手になるという夢をかなえた後には
そうじゃない野球がやりたいなと思っている自分がある時から存在した
でもこれは中途半端にプロ野球生活を過ごした人には待っていないもの
趣味で、例えば草野球ですよね
やっぱりプロ野球でそれなりに苦しんだ人間でないと草野球を楽しめないのではと思っている
これからはそんな野球がやってみたいなと思います
おかしなこと言ってます?w
◆日テレ徳島
Qどんなギフトをくださるか
Aそんなものないですよ
でも、ほんとこれは大きなギフトで、
去年の3月にマリナーズからオファーをいただいてからのここがある
あそこで、去年の春に終わっていてもおかしくない状況だった
今この状況は信じられないですよ
あのとき考えていたのは
自分がオフの時にアメリカでプレーをするために練習するのは神戸の球場ですけれど、
寒い時期なので へこむんですよ、心折れる
そんなときも仲間に支えられてやってきたんですけれど、
最後は今まで自分なりに訓練を重ねてきた神戸の球場でひっそりと終るのかな
そう思っていたので、こんな状況は夢のようです
質問の答えにはなっていないけれど、僕からのギフトはないです
Q笑顔でしたが楽しかったということか
Aこれも純粋に楽しいということはない
やっぱり、誰かの思いを背負うということはそれなりに重いことなんで、
そうやって一打席一打席に立つことって簡単ではないんですね
だから、すごく疲れました
やっぱり一本ヒット打ちたかった
応えたい
当然ですよね、それは
僕にも、感情がないと思っている人がいるみたいですけど、あるんですよ、意外と
だから結果を残して最後迎えたら一番いいと思っていたが、それも叶わずで
それでもあんな風に球場に残ってくれて、
そうしないですけれど、死んでもいいという気持ちはこういうことなんだろうな
死なないですけど、そういう表現をするのはこういう時かなと
◆朝日
Q日本のプロ野球に戻ってくることは考えたか
Aなかったですね
Qなぜか
Aそれはここでは言えないなぁw
50まで、最低50までと思っていた
有限不実行の男になってしまったけれど
その表現をしてこなかったら、ここまでできなかったと思う
難しいとは思うけど、言葉にして表現することは目標に近づく一つの方法だと思っている
◆共同通信コニシ
Q今後膨大な時間を
A今はわからないですね
でも多分明日もトレーニングしてます
ゆっくりしたいとか全然ないです
だからたぶん動き回ってます
◆フジ生野
Q生き様としてファンに伝わっていたらうれしいこと
A生き様というのはよくわからないけれど
生き方という風に考えれば、
先ほどもお話ししましたが、人より頑張ることなんてとてもできない
あくまでも秤は自分の中にある
自分なりに、秤を使いながら限界を少しづつ超えていく
いつの日にか、こんな自分になっているんだっていう状態になって
少しづつの積み重ねが、
それを繰り返すことでしか、自分を超えていけないと思う
一気に高みに行こうとすると、
今の自分の状況とギャップがありすぎて続けられないと考えている
地道に進むしかない
進むだけではない、後退することもある
後退しかしない時期もあると思うので、
でも自分の信じた、やると決めたことを信じてやっていく
正解とは限らない
間違ったことを続けてしまうこともあると思う
そうやって遠まわりをするこでしか本当の自分には出会えないという気がしている
自分なりに重ねてきたことを、今日のゲーム後、ファンの方の、気持ちですよね
それを見た時に、そんなとこを見ていただいていたのかなと
そうだとすればうれしいです
まあ、そうじゃなくてもうれしいです、あれは
◆日刊スポーツ
Q引退して何になるか
A元イチローとかになるのかな
どうしようか
何になる…
監督は絶対に無理、絶対がつきます
人望がない
Qそうでもないと思いますけど
Aいやー、それぐらいの判断能力はありますので
でも、どうでしょう
プロというか
プロとアマの壁が日本では特殊な形で存在しているじゃないですか
自分に子供がいて高校生でやっているとしても、教えられないというルールですよね、今
そういうのってへんな感じじゃないですか
今日をもって元イチローになるので、ちいさな子供なのか中学生なのか大学生なのかわからないですけど
そういうところには興味ありますね
◆TBSジョウジ
Qこのタイミングより前に引退を考えたことは
A引退はないけど、クビになるんじゃないかといつも考えていた
NY行ってからは毎日そんな感じです
NYって皆さんご存知か特殊な場所で、マイアミも違った意味でまた特殊な場所ですけど
毎日そんなメンタリティで過ごしていた
クビになるときはまさにそのときだろうと
だからそんなのしょっちゅうありました
Qそういう時期が続いた中で今回引退する
Aマリナーズ以外にはいく気がなかったということが大きい
去年シアトルに戻していただいて、本当にうれしかった
キャンプ前のオファーの話はしましたが
そのあと5月にゲームに出られなくなる
あそこがそのタイミングでもおかしくない
でもこの春に向けて、可能性があると伝えられていたので
そこも自分なりに頑張ってこられた
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